書き始める前に、まずは「読者層」を想定しましょう。児童文学の場合は特に、「年齢層」を意識する必要があります。「幼年向き」「10歳~12歳」など想定することで、その年代にふさわしい表現を取ることができます。たとえば、「小学校低学年向き」を創作するなら、漢字の多用を避ける、難しい言い回しを使わない、など。子供達が自然に受け入れられるような、読みやすい文章で創作しましょう。
「人称」の設定を考えます。一般的なのは、「私は~」「僕は~」で語る一人称と、「彼(彼女)は~」「○○さんは~」で語る三人称。(「あなたは~」で語る二人称はごく稀)。
主人公目線で心情を描き出すなら一人称を、一歩引いて、作品世界を見渡すような表現をとりたいのなら、三人称を選びます。
文体の違いによって、作品の味わいも変わってきます。「~です」「~でしょう」などの丁寧な語り口調と、「~だ」「~である」の断定系とでは、作品全体の雰囲気、ダイナミズム、空気感、といったものに差が出てきます。
また、一人称の場合には、語り手の口調が、そのキャラクターを反映する手段となってくれます。しかし、読者は子供ですから、あまりに乱暴な言葉遣いやバイオレンスを予感させる言葉は、控えた方が無難です。
内容・テーマの設定に決まりごとはありません。しかし、児童文学は「子供向け」の作品です。大人の思うままに書き進めては、読者を置き去りにしてしまう可能性もあります。作者の心情を吐露する私小説風や、道徳観を無理やり押し付けるような作品だと、子供達が戸惑ってしまうかも。
「書きたいことを自由に書く」のが創作ですが、読者目線で自分の作品を読み返す作業も大事です。
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